ビジネス目的の大規模な環境破壊を罪に?
大規模な森林火災や、海洋汚染などが大きな問題として、世界的に取り上げられています。
それらの災害はビジネスチャンスによって起きたこともあって、
環境破壊を進める産業を止める運動「エコサイド」という言葉があります。
[目次]
1.エコサイドとは
2. エコサイドは2つに分類される
3.平和に対する4つの罪
4.改めて考える環境破壊
1.エコサイドとは
「エコ」と「ジェノサイド(大量虐殺)」を掛け合わせた造語です。
エコサイドは、「環境に深刻かつ広範、または長期的な損害を与える可能性があることと知りながら行う、不法で無慈悲な行為」とされています。
つまり、自然を大規模に破壊し、気候や生態に緊急的な事態を引き起こすことです。
エコサイドはイギリスの国際弁護士、故ポリー・ヒギンズ(1968-2019)が2017年に提唱しました。
大規模な森林の破壊、化学薬品で海や川の汚染…
アマゾンの森は、牛や豚の餌となる大豆を生産するために、日本の国土面積よりもやや大きい42万ヘクタールが消失されました。
工場からメチル水銀が川や海に流れ、メチル水銀が流され、水俣病が発症しました。
鉄を採掘するために、山に大きな穴をあけました。
やしの油を生産するために、原生林が燃やされました。
ビジネスの目的のために破壊された場所は、もともと人やそのほかの生き物の棲家でした。
工場ができ、生産するために大量の化学物質を使います。
その化学物質がお魚の中に入り、それを食べて、重病を抱えてしまう。
環境破壊は、たくさんの生き物の棲家を奪い、命まで奪っています。
次世代に残せる自然を破壊しています。
環境破壊の現実です。
こういった現状を「罪」にしようと、「エコサイド」が生まれました。
エコサイドを提唱したポリー・ヒギンズは、「地球にも弁護士が必要なのだ」と考え、地球の生存権について考えました。
人権や生存権は、一対一の関係に基づく。
そして、地球にも生存権があることについて、賛同者を募ったとこ7億5千万人が地球にも生存権があることに共感しました。そのうちの3億7千万人が原住民による賛同です。
2.エコサイドは2つに分類される
エコサイドは、ふたつに分けられるようです。
○人為的なエコサイド
私たちの行動が、明確に大規模な損害や破壊をもたらすことが予期され、また確認されていても行為に移すこと
○自然発生的なエコサイド
津波や洪水、海面の上昇など大規模な生態系の崩壊をもたらすあらゆる事象のこと。
この2種には、制御と支援の違いがあります。
産業がビジネスにおいて環境を破壊する、「人為的なエコサイド」には、産業の環境破壊を制御する役割。
津波や海面上昇など、自然災害によって損害があった、「自然発生的なエコサイド」には、支援するという役割があります。
単に環境破壊をする企業活動を制御する方法ではなく、全ての国に何らかの方法で他国を支援する法的な”注意義務”を課す国際法を作る、とポリー・ヒギンズは提唱しています。
この国際法は、「平和に対する4つの罪」に、エコサイドを加えて5つの罪にすると言う、エコサイドキャンペーンがあります。
3. 平和に対する4つの罪
エコサイドを、「平和に対する4つの罪」に加える運動が進められています。
先程から言っている「平和に対する4つの罪」とはなんでしょうか。
第二次世界大戦後、ドイツのニュルンベルクで、ドイツの戦争指導者の責任を、刑罰宣告をする国際軍事裁判で認められた国際法です。
1946年12月11日、国際法委員会は1951年に「人類と平和と安全に対する罪について法典草案」を作成し、各国の反応を見たうえで、1954年に,その改定案を総会に提出ししました。
以下の4つが「平和に対する4つの罪」です。
・「戦争犯罪 」ー 使ってはいけない武器を使うことや、捕虜や傷病者、民間人など戦闘から離れている人たちへの攻撃をすること
・「人道に対する罪」ー 殺人、強姦、拷問、迫害を、市民や住民に対して攻撃的な行為をする
・「侵略犯罪」 ー 1つの国家が他の国家の主権及び独立を武力によって侵害する行為。
・「集団殺害犯罪(ジェノサイド)」 ー 民族的、人種的、宗教的な集団の、すべて又は一部を破壊する行為
これらの行為を行えば、国際裁判所で裁かれます。
この「平和に対する4つの罪」に、エコサイドを加えて平和に対する5つの罪にしようとしています。
4.改めて考える環境破壊
私たちは命の問題に関わる、気候変動に直面しています。
地球の歴史で5回の大量絶滅がありました。
これまでは大量絶滅は自然がもたらした大量絶滅です。
私たちは、今、大量絶滅に向かっていると言う科学者もいます。
それも、人類が自ら環境を壊して…
ひとむかし前まで、奴隷が当たり前となり、奴隷がいないと経済は回らないとまで言われている時代がありました。
しかし、イギリス議員のウィリアム・ウィルバーフォースが奴隷廃止を訴え、法案として奴隷廃止が可決され、世界中から奴隷廃止の制度はいっきに広まったとされています。
これを機に、環境破壊の現実、エコサイドの必要性について考えてみませんか!