ギフトエコノミー
経済と聞くと、どんなイメージが浮かびますか?
おそらくお金のイメージが浮かんだかたもいると思います。
経済はお金がまわって社会が動く「貨幣経済」だけではありません。
ここで紹介するのは、お金を必要としない経済のこと。
与えることで成り立つ経済 "ギフトエコノミー" について紹介します。
[目次]
1.ギフトエコノミーとは
2.あなたもできるギフトエコノミー "ポットラック"
3.ギフト受けた実践者による ”フリーエコノミー”
4.ギフトエコノミーについて考える
1. ギフトエコノミーとは
ギフトエコノミーとは、与えることで成り立つ経済のことです。
もう少し詳しく説明すると、
与えても無くならない、豊富にある自分が持っているものを与える。
そして、大切なのが、見返りを求めない”ギフト精神”で成り立つ経済、ということです。
「与えることで成り立つ経済」は物々交換とは違います。
物々交換は、モノとモノを直接に交換することで成り立ちます。
お互いに欲しいモノがあるため、そのモノを得るために用いる手段。つまり見返りがあります。
ギフトエコノミーは、もう一度言いますが、見返りを求めない”ギフト精神”で成り立つことです。
「自分が与えたいから与える」「自分がしたいからする」
だから見返りなんて、そもそも求めていないんです。
現代の貧富の格差を広げている、グローバル経済のシステムとは違ったシステムです。
「お金を使わないで生きる」のではなく、「お金を使わないで豊かになる」
これこそががギフトエコノミーの面白いとこです。
2. あなたもできるギフトエコノミー ”ポットラック”
与えることで成り立つ経済のギフトエコノミー。
その一例が「ポットラック」というもの。
ポットラックとは、英語表記でpotluck。
「pot=鍋」と「luck=運」を掛け合わせた造語です。
ポットラックの意味は、「持ち寄りのご飯」や「あり合わせの料理」という意味です。
みんなでご飯を持ち寄り、食べ物の”与え合い”をする場です。
おそらく、ポットラックと知らずに、すでにギフトエコノミーを実践されている方もいるのではないでしょうか!
それぞれが、自分の持ち寄った食べ物をシェアをし、コミュニケーションをとることで、お互いの人となりを知ることができます。
食文化は、国によってもちろん違いますが、同じ国で同じ地域に住んでいても、食べてきたものは違います。
それぞれが持ち寄った食べ物を与え合うことで、食の価値観やライフスタイル、地域性などが発見でき、ポットラックならではのコミュニケーションができます。
もしこれから実践される方でどんな料理を作るか知りたい方、
「ポットラック」と検索すると、ポットラック向けのレシピなどもあります。
持ち運びがしやすい料理のレシピや、
持ち寄った料理の写真を撮るために写真映えするレシピ、
保存ができるレシピなど、ポットラックの用途に合わせたレシピもあるので、是非、ご覧になられてください!
ちなみに余った料理を持ち寄ることは、ギフトエコノミーのポットラックでは、違うようです。
そこには、「自分が食べれなかった、だから余った料理をひとに食べてもらおう」という見返りが発生してしまいます。
与える人のことを考えるからこそ、ギフトエコノミーのポットラックが成り立ちます。
3. ギフト受けた実践者による ”フリーエコノミー運動”
フリーエコノミー運動とは、
「お金を使わずに無償でモノやサービスを与え、受け継がれることで成り立つ経済」
のことです。
そのフリーエコノミー運動の創始者である、マーク・ボイル氏。
マーク・ボイル氏は1979年にアイルランドで生まれ、大学で経済学を学ぶためにイギリスに。卒業後にオーガニック食品業界で働いた後、イギリスのブリストルにてフリーエコノミー運動を始めました。
貨幣経済がもたらす矛盾を根本から問い直そうと、2008年の「国際無買デー」をきっかけに、1年間お金を全く使わないで暮らしました。
「国際無買デー」とは、1年に1度だけ必要なもの以外を買わずに過ごすというもの。
環境・ゴミ問題の原因である過剰消費に焦点を当てて、人々のライフスタイルを少しでも変えていこうという目的で始まった運動です。
マーク・ボイル氏は、2008年の国際無買デーから始まった、フリーエコノミー運動をスタートして、「提供者」と恩恵を受ける「享受者」の交換関係を考え直すきっかけを作ったとして注目されました。
与えるのは人から人ではなく、木が実を作る、その実を作った木は土壌から、その土壌の微生物が与えるものも、ギフトエコノミーでありフリーエコノミー。
マーク・ボイル氏はその循環を「自然界の経済」と呼んでいるそうです。
4. ギフトエコノミーについて考える
ギフトエコノミーを知って、あの名曲を思い出しました。
1985年に、アフリカの飢餓の救済のために、当時の世界中のトップアーティストがチャリティーのために歌った曲、『We are the world』。
We are the world, we are the children
僕たちは一つ、地球に生まれた同じ命
We are the ones who make a brighter day
僕たちは、光り輝く日をつくれるんだ
So let’s start giving
だから、与えることをはじめよう
There’s a choice were making
そうする選択肢があるんだ
We’re saving our own lives
僕たちの命は僕たちで守ろう
It’s true we’ll make a better day
本当にいい日がやってくるだろう
Just you and me
君と僕とで
ここで伝えているのは、まさにギフトエコノミーの世界なのではないでしょうか。
与えたい人が与えればいい。
そして経済が成り立つ。
経済という言葉は、「経世済民」を略したもの。
経世済民とは「世を経(おさ)め、民の苦しみを済(すく)うこと」です。
贈る、与える経済、ギフトエコノミーで、豊さを感じる。
経済の意味を考えると、貨幣経済とギフトエコノミー、どちらも良さがあります。
貨幣経済でない経済、ギフトエコノミーの存在があるということをここでは知っていただきたいです。