Junji 自然to暮らしのデザイナー@GlocalGreenLifeLab

地球と自分を大切にする暮らしの実験室

日本の森について考える「木材自給のはなし」

木材に自給率は低い

気候変動などの環境問題について調べたり、活動をして3年ほど。

 

ここ一年半は、森に触れる機会が多くなり、森について関心を持つようになりました。

 

意外と問題を抱えている日本の森

 

その一例である、木材自給率」について、考えてみます!!

 

[目次]

1.木材自給率

2. 木材利用を歴史

3.木材自給率を上げることのメリット

 

 

1.木材自給率

 

国内で消費される木材のうち、国産の木材、いわゆる木材自給率は41.1%(2021年)です。

 

日本の、国土の3分の2が森林ですが、半分以上は輸入木材に頼り消費しています。

 

この木材自給率が低い理由として、外国産木材の流通にあります。

 

外国産木材は、ミリ単位に加工されており、短期で納品できる仕組みが出来上がっています。

対して、国産木材は流通量が少なく質も不安定です。

 

木材の品質は、色合い・木目・香りが重要なポイントなってきます。

四季のある日本では、品質を保つことが難しくなるため、外国産に頼ることが、自給率の低い理由です。

 

また、林業従事者の減少も木材自給率の低い理由として挙げられます。

 

林業従事者は1980年に14万6000人をピークに、現在は5万にも減少しています。

 

その背景には、1960年代に安い外国産木材輸入を推進した「木材輸入の自由化」があります。

 

日本国内で木材需要が高まり、安く木材を輸入しようと関税撤廃を推進しました。

 

また、林業従事者が、林業従事者としてビジネスができていない仕組みがあります。

 

林業従事者の仕事は新植、保育、間伐などが中心であり、補助金助成金に頼りになっています。

 

木材の生産・販売や丸太の製材など、マーケット需要が小さいことも、林業従事者の減少の理由のひとつと言われています。

 

補助金助成金に頼らずに、木材を商材として価値を伝え、求められやすい流通経路の構築をする必要がありますが、林業従事者がビジネス視点をもてない仕組みが出来上がっています。

 

2. 木材利用を歴史

 

ずいぶんと前から現在まで、木材は日本人の生活に欠かせないものとなっています。

 

古来からすでに、建築用材や薪の燃料、肥料、家畜の餌として利用されていたり、インフラ整備として、川岸や海岸や建物、街道、村落周辺の防犯や美しい景観を作ることして木材は利用されてきました。

 

江戸時代には、木材利用の用途の幅が広がり、森林伐採が盛んになりました。

そして、この時代に森の整備に関しての制度「分収林制」ができました。

この制度は、藩と地元の農民等の造林者が、立木の販売収益を分け合う制度です。

 

都市では、城郭の建材として利用され、インフラ整備としては土砂流出防止林、水質を浄化する水源かん養林、防風林、海岸防砂林として利など、木の需要な高まっていきました。

 

明治時代には、さらに木材利用の幅が広がり始めました。

 

その背景には、英国の文明が日本に入ってきたことにあります。

 

木材の利用は、電柱や坑木(鉱山などで土砂や岩盤を支える支柱)、梱包材、紙のパルプの原料、桟橋、工事の足場としてなどなど、木材の需要はますます高くなり、比例するように森林は荒廃していきます。

 

進む荒廃を止めるように、1897年には「森林法」が制定されました。

森林の伐採が本格的に規制されたのです。

 

 

戦中戦後にも木材は伐採されてきています。

軍需物資等として大量の木材が 必要となり、これを満たすため森林の伐採が行われてきました。

 

戦後には、政府が「拡大造林政策」を実行します。

この政策は、国民参加で伐採地に木を植えることで、各地に人工林ができ始めました。

 

拡大造林政策の意図は、戦中・戦後に軍需物資や戦後復興のために広葉樹が大量に伐採され、代わりに建築用材として、スギやヒノキなどの針葉樹を植林することです。

 

そして、戦後復興のために木材を多く必要としたことから、「木材輸入の自由化」が始まりました。

 

 

3. 木材自給率を上げることのメリット

 

建築用材として、スギやヒノキが日本の各地で植えられました。

その結果、日本国土の7割が森林ですが、そのうちの4割が人工林となりました。

 

しかし、木材自給率は41%。

自然は、ヒトの手を加えると、ヒトの力がないと逆に問題を引き起こすのです。

 

木材自給率を上げることは、森を整備することに繋がるのです。

 

木材の供給を増やすために、一度手を加えて放置されたスギやヒノキは、成長し続け、やがて密集した状態になります。

木が密集すると、木の下に生えている下草まで、日光が届かなくなります。

下草に日光が届かなくなると、その土壌の栄養が失われてきて、土壌の悪化につながり、土砂災害にも繋がりかねません。

 

また、川や海などにも影響をもたらします。

山の保水力や浄化力がなくなり、水質の悪化や、生物多様性の問題などを引き起こします。

 

木の密集を防ぐことは、自然を守るために大切なことだとお分かりいただけたと思います。

 

密集を防ぐには、間伐という作業が必要になります。間伐は漢字の通り、木と木と間の木を伐採することで、密集を防ぎます。

 

間伐材とは、間伐された木で作られた材のことです。

間伐を推進するためにも、国産の間伐材を積極的に使っていくことも森を守る手段です。

 

割り箸や建材などにも間伐材はあります。

 

間伐材の利用するだけの価値を考えるのではなく、自然を守る価値も考えて、ぜひ木材を買うときは間伐材を使ってください!